能代カントリー再建プロジェクトインタビューVol.1

2023年12月、惜しまれながらも廃業となった能代カントリークラブ。1965年にオープンした同施設は、58年の歴史にひっそりと幕を下ろしました。

「長きに渡り愛されたこのゴルフ場をそのまま投げ捨てることはできない」。そう話すのは、能代カントリークラブを再建するために作られた「八峰しらかみ株式会社」の代表取締役、山田倫です。この場所を再建しようと考えるに至った経緯、想いなどを聞きました。

遊び場を失うわけにはいかない

私がここに最初に訪れたのは、もう38年ほど前のことかな。30歳の頃に仕事の関係で能代市に引っ越してきましたが、その当時はゴルフは未経験でした。その後、仲間に誘われたり同業者同士のコンペがあったりして、この能代カントリークラブに来るようになったんですよ。

当時はものすごく賑わっていてね、芝生がふかふかで綺麗な素晴らしいゴルフ場でした。東北は積雪があるので、冬季中はクローズしちゃうんですよ。その中でも能代カントリークラブは3月上旬にはもう雪解けするから、近隣では最も早くオープンするゴルフ場だったんだよね。だから、能代市だけじゃなく秋田県全体、それから青森県やもっと遠くの人たちも春先になるとここに集まってくる、そういうゴルフ場でした。そんな「特別な場所」が廃業すると聞いたときは、強烈な寂しさを感じました。

そんなニュースをゴルフ仲間と話していたときに「俺たちでどうにかできないか」という話になって、お金の問題や将来性も議論になったけど、一番大切にしていたのは「遊び場を失うわけにはいかないよな」と。この仲間でがんばって再建にチャレンジしてみようということになりました。ゴルフ場の経営なんて誰もやったことがないけど、それでもやるしかない、やりたいと腹を括り、仲間からの推薦で私が代表を務めることになりました。

廃業となって数ヶ月してから現地を訪れたとき、ゴルフ場はそれはもうひどい状況でした。芝は荒れ放題だし、雑草は伸び放題。思わず「お花畑だな」なんて笑い飛ばそうと思いましたが、笑えないくらいひどかった。この状態で本当に再建なんてできるのかと不安も感じましたし、今でも拭いきれていません。でも、もう後戻りはできないので（笑）

何より、私自身がここの再建を楽しんでいる部分もあります。毎朝1時間以上かけて通勤して、午前7時にはここに来て、まずは一周ぐるっと周ってみるんです。毎日なので、そんなに変化があるわけじゃないんですけどね（笑）。決して広いゴルフ場ではないんだけど、歩くと結構な距離もある。「ここは自分たちのものだ！」と思えば、やる気が出てくるんですよ。

仲間や家族と遊べる、最高のスポーツ

それから、廃業したときに在籍していた社員の人たちにいち早く声をかけて、ここに戻ってきてもらったんです。再建を心から喜んでくれて、毎日コースの手入れを頑張ってくれて、本当に頭が下がる思いです。僕はゴルフをプレイするのは好きだけど、コース管理に関しては素人だからね。このゴルフ場を知り尽くした人たちが再び集まってくれたというのは、何より嬉しいし、心強いですよ。

ゴルフ場はやっぱり芝生が一番なんですよ。芝生がちゃんとしてないと、お客さんだって来てくれない。だから芝生の再生には一番お金をかけています。正直なところ当初の想定以上にお金がかかることが後から後から判明しているけど、そこは手を抜けないし、お金をかけなくてはと思っています。

それから、他のゴルフ場ではやっていない試みもやろうと考えています。能代カントリーならではの楽しみ方。それも含めて、2025年の夏を目処にリニューアルオープンしたいと思っています。それこそ「散歩にくる」くらい気軽に来てもらえる場所にしたいですね。芝生やグリーンの再生次第ではあるけど、心強いスタッフに囲まれているから私も頑張ろうと思いますよ。

ゴルフは、年齢も性別もプロもアマも関係なく「仲間や家族とみんなで楽しめる」ものなんです。スコアなんか関係ない。生涯スポーツだし、健康にもいいしね。ゴルフ場の方々が一生懸命手入れしたフカフカの芝生を胸を張って歩くって、ものすごく気持ちいいですよ！スコアなんてどうでもいいしね。私はこの「遊び」が好きなので、この再建プロジェクトに全力を注ぎたいと思っています。